【7】医院経営 | (3)増患対策

医院経営に関する以下のQ&Aにお答えしています。
(1)新規開業支援 (2)立地条件 (3)増患対策 (4)医療法人化 (5)労務リスク (6)医業承継

(3)増患対策の質問を表示しています。

  • 【Q1】医院経営にとって、増患対策は必要なものでしょうか。

    【A】増患というのは、まさに「患者を増やすこと」です。医師の側からすると、患者を増やすということに抵抗を感じるかもしれませんが、経営という観点からみると、医院を存続させるには経営がしっかりとできていなければなりません。では、医院経営を継続して行うためには何が必要かというと、患者数が大きく影響することは間違いないのです。ここで大事なことは、患者さんを増やすという目的だけにとらわれてしまわないということです。増患対策というと、「患者数を増やす」ということにだけ目がいきそうですが、これは誤りです。患者さんが多い医療機関は、それだけの理由があるのです。もしかすると、知らないところで増患対策をしているのかもしれません。その対策が、改装したことによるものか、医療スタッフの充実を図ったものなのか、その理由を調べてみると、そこに増患対策をした痕跡が浮かび上がってくることがあるのです。増患対策をせず、現状維持という医院等もありますが、単に患者数を増やすということよりも、患者にとってよりよい医療環境を作り出すという意味においては、増患対策は必要不可欠といえます。

  • 【Q2】増患対策にはどのような方法がありますか。

    【A】増患対策には大きく分けて次のような方法に分けられます。まず、外観や内装、医療機器の新設などハード部分を改善する、医師や看護師などスタッフの充実化をはかる、患者へのサービスを向上させて満足度の向上をはかる、といったことなどがあげられます。たとえば、A医院は建物自体が古くなっていて、さびれた様子。一方のB医院は清潔感にあふれているとします。もし、病気にかかっていて、ABどちらかに行かなければならないとすると、どちらを選びますか。たいていの人はB医院を選ぶと思います。もしかすると、A医院の医師のほうが腕はよく、面倒見もよいのかもしれませんが、建物の外観だけで判断されてしまうことだってないとはいえないのです。最近ではインターネットの普及により、病院に罹る前に事前にネットで検索し、医院等の情報を得る人がほとんどだといえます。こうしたネットで医院の情報を提供し、増患に役立てるという医院も増えているといえます。このように、増患対策には、ハード・ソフトの両面で対応することが求められるのです。

  • 【Q3】患者さんを増やすうえで、やるべきことはなんでしょうか。

    【A】増患をするためには、自分の医院が地域においてどのような状況に置かれているのか、現状を分析する必要があります。たとえば、自分の医院があるテリトリー内において、競合他院の状況はどうなのか、ここ数年あるいは十数年において患者数や診療ニーズがどのように変わってきたのか、といったことを調べます。その結果、自院を取り巻く環境や患者さんのニーズが次第にわかってきます。次に、患者数が多い他院と、自院の違いを浮き彫りにします。医療サービスに対する違いなのか、人的な問題なのか、事務上の問題なのか、色々な角度から分析をします。できれば、患者さんの満足度についても調べてみると、改善点が見えてくるかもしれません。最近では、医師が患者さんに十分な治療内容や方針を説明し、患者さんの理解・合意の上で治療を行うインフォームド・コンセントが一般的ですが、これも含めた情報開示・情報提供が十分になされているかどうかが焦点になっています。患者さんのこうした要望に応えていく医院を目指すことが、増患につながってくるともいえます。

  • 【Q4】増患をすすめるうえで、自院のホームページは必要なものでしょうか。

    【A】今や、事業を展開している企業・個人経営者にとってホームページは必須アイテムといえます。新規開業もそうですが、自院の様子やスタッフの声、診療内容、医療に関する相談などを受け付ける手段として、ホームページはもっとも適した告知方法といえます。ホームページの活用によって、地域以外の人も多く閲覧できますので、医院長の医療方針や経歴、医療実績などが一目でわかるようになります。コスト面を考えても、チラシやパンフレットなど紙ベースの作成代金に比べて、安価で作成できるほか、定期的に更新すれば新規情報を伝えることもできます。もちろん、新聞広告などの折り込みチラシや駅看板なども告知手段としては有効ですが、広告宣伝の相乗効果をはかるうえでもホームページは恰好のアイテムになることは間違いありません。もし、現在ホームページを作っているにもかかわらず、アクセス件数が少ないという場合は、ホームページの改訂をする必要もあるでしょう。

  • 【Q5】知人の医師が院内でさまざまな相談業務をしていると聞きました。このようなイベントなども増患対策になるのでしょうか。

    【A】医院のなかには、患者さんにもっと病気について関心をもってもらう、病気の理解度を深める、といった意味で、院内におけるセミナーや指導教室などを開催しています。たとえば、産婦人科で、妊婦さん向けに、これから出産するための心構えや出産後の子育てに関する育児教室を開催したり、糖尿病患者さんやメタボリックの患者さん向けに食事療法の指導教室を開いたりと、患者さん向けのイベントを開催するというものです。とくに、新規開業の医院や、改装した医院などでは、内覧会などを開催し、近隣住民などに参加をしてもらうことで、認知度を上げている医院もあります。患者さんにとっては、どのような医師が診療しているのか、治療する部屋はどうなっているのか、入院患者の受け入れ態勢はどうなっているのかなど、色々知りたい情報があると思います。そういった患者さんの声にじかに接するには、こうしたイベントや内覧会などは効果的といえます。